相続税申告Q&A

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税理士 長嶋佳明
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相続税が課税されるのかどうか知りたい方
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相続税改正Q&A
相続税が課税されるのかどうか知りたい方
2012.08.29
遺産相続を工夫することで相続税がかからないこともある

【ご質問】
相続税が改正され基礎控除が下がるという話を聞きました。
我が家にも相続税がかかるのではないか?と心配をしています。

ここで、相続税の計算について教えてください。
例えば、次のような場合は相続税はかかるのでしょうか?

家族構成は、父・母・子供1人だとします。
そして、父の相続財産が4000万円、母の相続財産が2000万円のとき。
相続税の基礎控除はいくらになるのでしょうか?

子供が父と母の財産を相続するとき、父と母の財産を合計して相続税を計算するのでしょうか?

 

 

【税理士長嶋の回答】
相続税は、被相続人が所有する財産について課税されますので、父と母の財産を合算して相続税を計算するようなことはしません。
そのため、相続税の基礎控除は、
・父の相続のとき
・母の相続のとき
と区別して計算することになります。

なお、遺産相続の仕方を工夫することで相続税がかからない場合もありますので、よく考えて相続手続きをされることをお勧めします。

 

 

【相続税は被相続人ごとに計算する】
相続税は、相続や遺贈によって取得した財産が基礎控除額を超える場合にその超える部分に対して、課税されます。

そのため、父が亡くなったときは、父について相続税がかかるかどうかを判断します。
また、母が亡くなったときも、母について相続税がかかるかどうかを判断することになります。

このようなことから、父と母の財産を合計して相続税を計算するような仕組みにはなっていません。

相続税の基礎控除は次のように計算されます。
なお、相続税が改正されることを前提で計算してみます。
計算をする前提として、父→母の順番に相続があったものとします。

 

<父の相続のとき>
相続税の基礎控除=3000万円+600万円×2人(母と子供)=4200万円

 

<母の相続のとき>
相続税の基礎控除=3000万円+600万円×1人(子供のみ)=3600万円

 

 

【遺産相続を工夫することで相続税がかからないようにすることもできる】
父の財産は4000万円ですので相続税の基礎控除以下であることから、父の相続のときには相続税はかからないことになります。

ここで、父の相続のときに相続財産を法定相続分通りに相続したとすると、
母が相続する財産:2000万円
子供が相続する財産:2000万円
となります。

母の相続財産は2000万円(元々母が持っている財産)+2000万円(父の相続で取得した財産)=4000万円となります。
このとき、母の基礎控除は3600万円ですので、相続財産は基礎控除を400万円超えてしまうことになります。
この400万円に対して相続税がかかります。

 

もし、父の相続のときに子供がすべての財産を相続したとすれば、結果は大きく変わってきます。
母は父の相続により財産を取得しませんので、母の相続財産は2000万円のままです。
このとき、母の基礎控除は3600万円ですので、相続財産は基礎控除以下となり、相続税はかかりません。

 

この事例でわかることは、遺産相続の仕方を工夫することで相続税をかからないようにすることもできるということです。

相続税は、相続や遺贈によって取得した財産に対して課税されます。
相続や遺贈によって誰がどの財産を取得するのかを話し合うのが「遺産相続」という手続きです。
相続税を考える前提として、遺産相続の手続きは無視できないことがご理解いただけるかと思います。

 

 

【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税の基礎控除改正は平成25年度税制改正へ先送り(2012.07.10)

・相続税基礎控除の改正による相続税の増税効果(2012.03.20)

・相続税の基礎控除はどのように差し引くのでしょうか?(2012.03.30)

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