相続税申告Q&A

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税理士 長嶋佳明
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2012.05.15
高度障害保険金に相続税はかかりますか?

【ご質問】
現在、父が入院をしています。
父は生命保険に加入しており、保険会社から高度障害保険金を受け取ることになりました。
この高度障害保険金は、子供である私の預金口座に振り込まれることになっています。

父が加入している生命保険の契約内容は次のようになっています。
・契約者→父
・被保険者→父
・保険金受取人→子供である私

高度障害保険金には、相続税や所得税などの税金がかかるのでしょうか?
また、子供の私が高度障害保険金を受け取った場合、贈与税がかかるのでしょうか?

インターネットで調べていると、所得税や贈与税がかかるという税理士さんもいれば、所得税や贈与税は非課税であるというファイナンシャルプランナー(FP)さんもいます。
誰の言うことを信じてよいのか困っています。

 

 

【税理士長嶋の回答】
高度障害保険金を受け取ったとしても所得税はかかりません。
そして、お父様はまだ亡くなられていませんので、相続税の対象にもなりません。

また、高度障害保険金は被保険者であるお父様が受け取られるのが一般的ですが、ご質問の場合、子供さんが受け取ったとしても贈与税は課税されません。

 

 

【高度障害保険金には所得税はかからない】
高度障害保険金を被保険者であるお父様が受け取ったときは、所得税は非課税とされています。
また、高度障害保険金を配偶者や子供さんなどの親族が受け取った場合も、所得税は非課税となります。

 

(所得税法第9条)非課税所得
次に掲げる所得については、所得税を課さない。
保険業法に規定する損害保険会社又は外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含むし)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

 

(所得税法施行令第30条)非課税とされる保険金、損害賠償金等
所得税法第9条に規定する保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、次に掲げるものその他これらに類するものとする。
一  損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金
二  損害保険契約に基づく保険金及び当該契約に準ずる共済に係る契約に基づく共済金で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金
三  心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金

 

(所得税法基本通達9-20)身体に損害を受けた者以外の者が支払を受ける傷害保険金等
所得税法施行令第30条第1号の規定により非課税とされる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」は、自己の身体の傷害に基因して支払を受けるものをいうのであるが、その支払を受ける者と身体に傷害を受けた者とが異なる場合であっても、その支払を受ける者がその身体に傷害を受けた者の配偶者若しくは直系血族又は生計を一にするその他の親族であるときは、当該保険金又は給付金についても同号の規定の適用があるものとする。

 

(所得税法基本通達9-21)高度障害保険金等
疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等は、所得税法施行令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。

 

 

【高度障害保険金は贈与税の対象とはならない】
高度障害保険金の保険料を負担していたのがお父様で、それを受け取ったのが子供さんの場合。
一般的には贈与税が課税されてしまうのではないかという心配がありますが、贈与税は課税されませんのでご安心ください。

つまり、高度障害保険金には、所得税も贈与税も課税されないということになります。

 

(相続税法第5条)贈与により取得したものとみなす場合
生命保険契約の保険事故(傷害、疾病その他これらに類する保険事故で死亡を伴わないものを除く。)又は損害保険契約の保障事故(偶然な事故に基因する保険事故で死亡を伴うものに限る。)が発生した場合において、これらの契約に係る保険料の全部又は一部が保険金受取人以外の者によつて負担されたものであるときは、これらの保険事故が発生した時において、保険金受取人が、その取得した保険金(当該損害保険契約の保険金については、政令で定めるものに限る。)のうち当該保険金受取人以外の者が負担した保険料の金額のこれらの契約に係る保険料でこれらの保険事故が発生した時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分を当該保障料を負担した者から贈与により取得したものとみなす。

 

 

【税理士は保険の税務はあまり知らない】
生命保険や損害保険について税金を考える場合、特に検討する必要があります。
契約内容によってどのような税金がかかるのか、ケースによって異なるためです。

また、税理士の試験には保険の税務はほとんど出てきません。
そのため、多くの税理士は保険の税務に詳しくありません。

むしろ、日頃から保険を扱っていることが多いファイナンシャルプランナー(FP)のほうが保険の税務に詳しい場合が多いです。
そのため、しかるべき専門家に相談することがとても重要になります。

 

 

【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税はかかりますか?母が受け取る生命保険金(2013.01.04)

・相続税はかかりますか?相続人以外が受け取った生命保険金(2012.11.07)

・相続税はかかりますか?郵便局の簡易保険(2012.04.07)

・相続税を払うための現金をもらうと贈与になりますか?(2012.04.02)

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