相続税申告Q&A

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税理士 長嶋佳明
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2012.12.06
アメリカ国籍の相続人に相続税はかかりますか?

【ご質問】
父の相続税について教えてください。

父が高齢になり、相続税の心配をするようになりました。
将来の相続人は、母と子供である私と兄です。

私は、アメリカ国籍を取得しており、現在もアメリカ在住です。
父と母、そして兄は日本で生活をしています。
このような状況で、もし父に相続があった場合、私に相続税はかかるのでしょうか?

アメリカでは被相続人が相続税(遺産税)を払うため、父の財産を相続してもアメリカでは相続税(遺産税)はかからないと聞いたことがあります。
私は既に日本国籍から離脱しアメリカ国籍を取得しており、日本ではなくアメリカに住んでいますので、日本の相続税はかからないのではないかと思っています。
私の理解で間違っていないでしょうか。

 

 

【税理士長嶋の回答】
お父様の財産で日本国内にあるものを相続したときは、日本の相続税がかかります。
ただし、相続税が改正される可能性があるため注意が必要です。

 

 

【相続税を払うのは誰なのか?】
日本の相続税を誰が払うのか?ということですが、アメリカは被相続人ですが、日本では相続人が払うことになっています。
また、被相続人・相続人のいずれかが日本国外に住んでいたり、日本国籍から離脱し外国籍を取得しているときは、日本の相続税法で相続税が課税されるルールが決められています。

相続税法においては、次のように定められています。
「相続又は遺贈により国内にある財産を取得した個人で、その財産を取得したときに国内に住所がない方は、相続税法により、相続税を納める義務がある。」
詳しくは、2011年2月21日付けの相続税対策ブログ「相続税の納税義務者」にてご紹介しています。

また、相続税が課税される財産についても、次のように定められています。
「相続又は遺贈により取得した財産で、国内にあるものに対して、相続税が課税されます。」
詳しくは、2011年2月23日付けの相続税対策ブログ「相続税が課税される財産の範囲」にてご紹介しています。

 

つまり、日本国内にある財産を取得した場合、アメリカ国籍であろうとアメリカに住んでいようと、日本の相続税が課税されます。
言い換えますと、日本国外にある財産を相続した時は、日本の相続税は課税されないということになります。

 

 

【日本国内にある財産はどのように判断するのか?】
被相続人の財産が、日本国内にあるのか日本国外にあるのかをどのように判断するのでしょうか?

相続税法において定められているのですが、例えば、預貯金の判断基準は次のようになっています。
「預貯金が預けられている支店の所在地により判定」

例えば、
(1)日本の銀行の国内の支店に預けた預金→日本国内にある財産となります。
(2)外資系の金融機関の日本国内の支店に預けた預金→日本国内にある財産となります。
(3)日本の銀行の海外支店に預けた預金→日本国外にある財産と判定されます。

(1)と(2)の財産を相続したときは、日本の相続税が課税されます。
一方、(3)の財産を取得したときは、日本の相続税は課税されません。

 

 

【子供や孫に外国籍を取得させる租税回避行為を防止】
相続人が日本国籍を持っているときは、日本国外の財産に対して相続税が課税されるのですが、日本国籍を持っていないときは日本の相続税は課税されません。
近年、この仕組みを利用して、子供や孫に外国籍を取得させる租税回避行為が行われるようになりました。

この不公平感を解消するため、子供や孫が外国籍を持っていても日本国外の財産に対しても相続税を課税しようとする動きが出てきており、平成25年度税制改正において議論されることになりました。

詳しくは、2012年12月4日付けの相続税対策ブログ「相続税の改正、外国籍の子供・孫は増税へ」にてご紹介しています。

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