【ご質問】
8年前に父が亡くなりました。
父に相続税がかかるということがわかりましたので、知人から税理士さんを紹介してもらい、相続税の申告を済ませました。
父は不動産を複数持っており、遺産分割協議書は作成しましたが、不動産の名義は父のままにしておきました。
昨年母が亡くなりましたので、今、遺産相続の手続きを進めているところです。
母の財産は相続税の基礎控除以下になるようですので、母には相続税がかからないようです。
このたび、父が持っていた不動産の名義変更について、相続税の申告をお願いした税理士さんに相談しました。
すると、父名義のままにしておいたので、今、不動産の名義変更をすると贈与税がかかると言われました。
贈与税がかかるということで、子供の私たちはビックリしました。
母の遺産相続の手続きを進めている中で、母が持っている不動産がありましたので、母名義の不動産を子供の私たちに名義を変更するために、司法書士さんに相談していました。
ついでに、父名義のままの不動産についても相談しました。
すると、司法書士さんは次のようにおっしゃいました。
・贈与税の問題は出てこないのではないか
・司法書士は税金の専門家ではないので、念のため相続税に詳しい税理士さんに相談してみてください
ここで質問です。
父名義の不動産を子供の私たちの名義に変更することで、贈与税はかかるのでしょうか?
私たちは、税理士さんと司法書士さんのどちらがおっしゃることを信じてよいのでしょうか?
【税理士長嶋の回答】
お父様名義の不動産について、相続人に名義変更をしても贈与税はかかりません。
【不動産の名義変更をしているかどうかは関係ない】
お父様の相続のときに、遺産分割協議書を作成されているとのことですので、お父様の相続手続きは終了しています。
遺産分割協議書には、不動産をどなたが取得するのかということが書かれていると思います。
そこに書かれている相続人が、相続によりその不動産を取得したことになります。
このとき、不動産の名義を変更したかどうかは関係ありません。
不動産の名義を変更するかどうかは、その相続人が判断することであり、相続により不動産を取得することを放棄したわけではありません。
【自分の財産を自分の名義に変更することは贈与ではない】
お父様名義の不動産を、遺産分割協議書に書かれている相続人の名義に変更することで、贈与税はかかりません。
自分が所有している不動産の名義を自分の名義に変更するだけですので、贈与税の問題は出てきません。
単に自分の名義に変更していないだけですので、むしろ、自分の名義に変更しておくことのほうが自然ではないでしょうか。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・土地の名義を変更しなければ相続税はかからないのですか?(2012.04.15)