相続税申告Q&A

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税理士 長嶋佳明
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2012.05.10
不動産を購入すると相続税の節税になりますか?

【ご質問】
父が計画している相続税対策が本当に相続税対策になるのか、心配しております。

父には預貯金が多額にあり、相続税対策を考えています。
近々相続税の改正が行われるようで、相続税の基礎控除が引き下げられることに対応しようというものです。

父が言うには、預貯金で持っているよりも不動産として持っていた方が相続税の節税になるそうです。
父が言っている事が本当なのか、教えてください。

 

 

【税理士長嶋の回答】
お父様のおっしゃっていることは正しいです。
確かに、預貯金で持っているよりは不動産として持っていたほうが相続税に節税にはなります。

ただし、現金を不動産に換えてしまいますと簡単には売却できません。
もし、急に現金が必要になり売却するようなことになれば売却損がでる可能性もありますので、ご注意ください。

 

 

【財産を預貯金ではなく不動産で持っていたほうが相続税の節税になる】
相続税の計算は、相続財産の相続税評価額を計算することから始ります。
ここでポイントになるのは、財産によって相続税評価額の計算が異なるということです。

ご質問にもあります預貯金と不動産は、相続税の節税をするときに利用される最も代表的な方法です。
預貯金と不動産の相続税評価額は、次のように異なります。

 

(1)預貯金
基本的には、預貯金の残高がそのまま相続税評価額となります。

 

(2)土地
多くの場合「路線価×面積」で土地の相続税評価額を計算します。

このとき、路線価は「公示価格の80%」を目安に設定されています。
つまり、市場価格よりも2割引になります。

 

(3)家屋
固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。

このとき、固定資産税評価額は「建築価額の60%」を目安に設定されています。
つまり、預貯金を使って家屋を建築すれば4割引になります。

 

このように、預貯金は残高そのままで評価されるのに対して、土地や家屋は相続税評価額は低めに設定されています。
この「差」を利用して相続税の節税をするというのが、一般的な相続税対策の考え方です。

 

 

【不動産は簡単に売れない、売れば損をする可能性もある】
預貯金を使って不動産を購入して相続税の節税を行うことは一般的によく行われていることです。
ところが、急に現金が必要になり不動産を売却するようなことになれば、
・希望の価格で売れない
・売却損がでる可能性がある
ことに注意が必要です。

せっかく相続税の節税ができたとしても、それ以上に値引きをして売却することになったり、売却損がでるようなことになれば、素直に相続税を払っていたほうが手許に多く現金が残っていたということにもなりかねません。
不動産は1000万円単位のお金が動きますので、慎重にご判断されることをお勧めします。

 

 

【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税の節税対策は生前からしておいたほうがよいのでしょうか? (2012.04.22)

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