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税理士 長嶋佳明
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2012.11.20
相続時精算課税制度を利用すれば一切税金はかからないのですか?

【ご質問】
相続時精算課税制度について教えてください。

このたび、父から2500万円の生前贈与を行う計画をしています。
相続時精算課税制度を利用すれば一切税金はかからないと理解しているのですが、私の理解で合っていますでしょうか?

なお、私の父には将来的に相続税はかかることはありません。

 

 

【税理士長嶋の回答】
相続時精算課税制度を利用すれば、2500万円までは贈与税がかかりません。

ただし、生前贈与をする財産が不動産であるときは、登録免許税や不動産取得税がかかります。
このため、将来相続税がかからない場合でも、一切税金がかからないというのは少々言い過ぎとなります。
このとき、生前贈与をする財産が現金や預貯金であるときは、一切税金がかかりません。

なお、お父様について将来的に本当に相続税がかからないのか、よく検討されることをお勧めします。

 

 

【贈与税はかからないが不動産に関する税金はかかる】
相続時精算課税制度を利用すると、2500万円までは贈与税がかかりません。
そのため、今回検討されている生前贈与を実行しても贈与税はかかりません。
また、お父様について元々相続税がかからないのであれば、相続税も贈与税も課税されないため、何一つ税金を払わないように見えます。

しかしながら、生前贈与をする財産が不動産のときは、次の2つの税金が課税されます。
(1)登録免許税
(2)不動産取得税

この2つの税金は、不動産が移転した際にかかる税金です。
この意味で、相続時精算課税制度を利用したとしても相続税や贈与税以外の税金がかかる可能性があります。

また、相続で不動産を取得したときもこれらの税金を心配することになります。
しかし、相続により不動産の移転があったときは、非課税となっていたり税率が低めになっていたりと、税金の優遇があります。

ところが、生前贈与で不動産の移転があったときは、これらの税金の優遇はありません。
そのため、不動産を生前贈与される際は、これらの税金の検討が必要です。

 

 

【相続税が改正されることを念頭に生前贈与の検討を】
お父様について、将来的に相続税はかからないとのこと。
相続税が改正された場合にも相続税がかからないのか、検討されることをお勧めします。

例えば、相続税が改正され法定相続人2人であるときの相続税の基礎控除は次のようになります。
3000万円+600万円×2人=4200万円

生前贈与される予定の2500万円も相続財産に含めて相続税を計算することになりますので、お父様の相続のときに1700万円の財産があれば相続税は課税されてしまいます。
相続時精算課税制度を選択してしまいますと、後戻りはできませんので注意が必要です。

相続時精算課税制度の詳細については、国税庁のホームページを参考になさってください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm

 

 

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