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税理士 長嶋佳明
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2016.05.14
相続税の申告書を作成する際の諸費用は控除できますか?

【ご相談】
昨年父が亡くなり、相続税の申告が必要です。
相続税の申告書は自分で作成しようと思い、書籍やインターネットでいろいろと調べているところです。

相続税の申告書を作成するための準備として、次のようなことを行ってきました。
・市役所にて、戸籍や印鑑証明などの取得
・銀行にて、父名義の口座に関する残高証明を取得
・法務局にて、不動産の登記簿謄本の取得

これらの資料を取得するにあたり、交通費も含めてそれなりに費用がかかっています。
このような相続税を申告するためにかかった諸費用は、相続税の申告時に何らかの控除をすることはできないものなのでしょうか?

 

 

【税理士長嶋の回答】
相続税の申告書の作成に関する諸費用は、相続税を計算するときの諸経費とは認められませんので、控除をすることはできません。

 

 

【回答解説:相続財産から差し引けるもの】
相続税の申告をするのだからそれにかかった諸経費は相続財産から差し引きたい、というお気持ちはよくわかります。
残念ながら控除をすることはできません。

相続税の対象となる財産は次の算式により計算します。
「相続税の対象となる財産=財産-債務」

この算式からわかることは、相続財産から差し引くことができるのは「債務」のみということになり、債務とは次の2つに分けられます。
(1)債務
(2)葬式費用

 

(1)債務
被相続人が死亡したときに確実と認められるものが対象となります。
例えば、お父様が亡くなられた日現在においてまだ払っていない次のようなものです。
・借入金やその利息
・固定資産税や所得税などの税金
・病院での治療費

 

(2)葬式費用
葬式費用は本来であれば債務ではありませんが、相続税を計算するときに相続財産から差し引くことが認められています。
例えば、次のようなものです。
・死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用)
・葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などにかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用)
・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用

なお、次のような費用は葬式費用とは認められませんのでご注意ください。
・香典返しのためにかかった費用
・墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
・初七日や法事などのためにかかった費用

 

 

【回答解説:まとめ】
相続税の申告書を作成する際にかかった諸費用は葬式費用ではありませんので、控除できる可能性があるのは「債務」ということになります。
債務として認められるためには「被相続人が死亡したときに確実と認められるもの」という条件があります。

相続税の申告書を作成する際にかかった諸費用は、お父様が亡くなられた後にかかるものですので、お父様が死亡した日現在において支払い義務があったものではありません。
このような理由から、相続税を計算するときの諸経費とは認められず、相続財産から控除することはできないということになります。

 

 

【相続税申告Q&A参考ブログ】
・普通預金に相続税が課税されるのはいつの時点の残高ですか?(2016.06.17)

・相続税と税理士報酬は所得税の経費になりますか?(2012.04.09)

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