【ご質問】
今年になり父が亡くなりました。
父は相続税対策として10年ほど前に銀行から勧められ借金をしてマンションを建てました。
このとき、相続税はどのように計算すればよいのでしょうか。
相続人は、母と子供の私と弟です。
父の財産は大雑把に次のものがあります。
・土地 2億円
・建物 1億円
・借金 1億円
【税理士長嶋の回答】
相続税の計算方法については、下記にて解説させていただきます。
なお、納める相続税の合計は900万円となります。
【相続税の計算の仕方】
(1)相続財産を計算する
まず、相続税の対象となる財産を計算します。
「相続税の対象となる財産=資産の合計額-負債の合計額」
2億円(土地)+1億円(建物)-1億円(借金)=2億円(純粋な財産)
(2)相続税の基礎控除を計算する
次に、相続財産から相続税の基礎控除を差し引くことができますので、相続税の基礎控除を計算します。
「相続税の基礎控除=5000万円+1000万円×法定相続人の数」
5000万円+1000万円×3人(お母様・子供さんお二人)=8000万円
(3)相続税の基礎控除を超える財産に相続税が課税される
相続税は、相続税の基礎控除を超える部分に対して課税されます。
「相続税が課税される財産=相続財産-相続税の基礎控除」
2億円-8000万円=1億2000万円
(4)仮に法定相続分で相続したものとして財産を計算する
相続税は、仮に相続人が法定相続分で相続した場合の相続財産を計算して、それに税率をかけて税額を計算することになっています。
・お母様:1億2000万円×1/2(法定相続分)=6000万円
・子供さんお二人:1億2000万円×1/2×1/2(法定相続分)=3000万円
(5)相続税の税率をかける
(4)で計算した相続財産に税率をかけて相続税を計算します。
・お母様:6000万円×20%-200万円=1000万円
・子供さんお二人:3000万円×15%-50万円=400万円
(6)相続税の総額
(5)で計算した相続税を合計します。
1000万円(お母様)+400万円×2人(子供さんお二人)=1800万円
(7)各相続人の相続税を計算する
(6)で計算した相続税の総額を、各相続人が実際に相続した財産の割合により、各相続人が納める相続税を計算します。
例えば、各相続人が法定相続分通りに財産を相続したとすると、
・お母様:1800万円×1/2=900万円
・子供さんお二人:1800万円×1/2×1/2=450万円
なお、お母様には配偶者の税額軽減がありますので、お母様には相続税がかかりません。
相続税がかかるのは子供さんお二人のみになりますので、450万円×2人=900万円が最終的に納める相続税となります。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・遺産相続を工夫することで相続税がかからないこともある(2012.08.29)