政府・与党は、贈与税の課税制度を減税の方向性で見直すことで、日本経済の活性化につなげたい方針を打ち出しました。
具体的には、次の3つの項目が検討されています。
(1)相続時精算課税制度の適用者を孫まで拡大
(2)子供や孫への贈与税の税率を引き下げ
(3)祖父母から孫への教育資金贈与の非課税制度を創設
(日本経済新聞:2013年1月14日)
孫への贈与、2500万円まで非課税 政府・与党方針 資産移転促す
政府・与党は孫への財産の贈与について、2500万円までを非課税にする制度の対象にする方針を固めた。
これまでは子への贈与が対象だったが、孫まで広げて若年層へ資産移転を促す。
制度を利用できる贈与側の人の年齢も従来の65歳以上から60歳以上に下げる。
高齢者が持つ「眠れる資産」を有効に活用できる仕組みを整え、日本経済の再生につなげる。
【相続時精算課税制度の適用者を孫まで拡大】
相続時精算課税制度を利用するためには、現在次の条件を満たしていることが必要です。
・贈与するのは親
・贈与する親の年齢は65歳以上
・贈与を受けるのは子供
・贈与を受ける子供の年齢は20歳以上
現在検討されているのは、この条件の拡大です。
・贈与するのは親→贈与する人に祖父母も加える
・贈与する親の年齢は65歳以上→60歳以上に年齢を引き下げ
・贈与を受けるのは子供→贈与を受ける人に孫も加える
贈与を受ける子供・孫の年齢は20歳以上であることに変更はありません。
この改正は、平成27年1月から実施する方針です。
【子供や孫への贈与税の税率を引き下げ】
贈与税の税率は、現在次のようになっています。
・200万円以下 →10%
・300万円以下 →15%
・400万円以下 →20%
・600万円以下 →30%
・1000万円以下 →40%
現在検討されているのは、20歳以上の子供や孫への贈与で600万円を超える部分について、贈与税の税率を引き下げるとのことです。
・1000万円以下 →30%
・1500万円以下 →40%
この改正は、平成27年1月から実施する方針です。
【祖父母から孫への教育資金贈与の非課税制度を創設】
現在の贈与税は、例えば祖父母が孫の学費として大学などに授業料を支払うことは、原則として贈与とはされません。
ただし、孫の大学入学時に4年間の授業料をまとめて孫に渡すと贈与の扱いとなり、贈与税がかかります。
この贈与税の取り扱いの変更を求める声に応えるため、政府は1月11日に閣議決定した緊急経済対策において、教育資金贈与の非課税制度の創設の方針を盛り込みました。
祖父母から孫などに将来必要な教育資金をまとめて贈与した場合に、期間限定で1人あたり1000万から1500万円を上限に贈与税を非課税にすることを、平成25年度税制改正での実現を目指します。
【相続税申告Q&A参考ブログ】
・相続税対策に活用する生前贈与
・相続時精算課税制度を利用すれば一切税金はかからないのですか?(2012.11.20)
・相続時精算課税制度を利用したときの相続税(2012.06.14)